新しい光(超新星篇)
New light
次世代を担う映画作家の発表の場が(ある意味)狭まる一方の昨今の日本映画界。それでも、新しい才能は着実に育っています。そんな彼らや作品群を一人でも多くの人に知っていただきたく、本映画祭が注目する3人の若手監督を特集します。
あとのまつり
2009年/日本/カラー/HD/19分
監督・脚本・編集:瀬田なつき 出演:中山絵梨奈、福田佑亮
忘れてしまうことが日常となっている街に住むノリコとトモオ。二人は、遠くの誰かに向け、自分たちのことを書いた手紙を風船に託す。やがてトモオは、ノリコのことを忘れてしまう。
港の話
2006年/日本/カラー/DV/18分
監督・脚本・編集:瀬田なつき 出演:岡部尚、木下美紗都
“今、そこにある差別”という黒沢清教授に与えられたテーマから制作された、東京藝大での初期実習作品。
瀬田なつき/Natsuki Seta
1979年大阪府生まれ。08年東京藝芸術大学大学院映像研究科を修了。『彼方からの手紙』(スズキジュンペイ、朝倉あき出演)、『あとのまつり』などを手掛ける。『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』が来年公開待機中。
FRAGMENTS Tokyo Murder Case
2005年/日本/カラー/DV/16分
監督・脚本・撮影・編集・音響:加藤直輝 出演:鈴木智恵、坂ノ下博樹
藝大入試提出用に突貫で作られた短篇ながら、一次試験を1位通過した作品。ある女子大生の一日とその崩壊の予兆が、“ぽかん”とした映像と飽和寸前の音響により1カット毎に張りつめていく。
渚にて(オムニバス『新訳・今昔物語』より) 
2007年/日本/カラー/16mm/18分
監督・脚本:加藤直輝 出演:中泉英雄、竹花梓
極秘のきのこを盗み出し、刺客に付け狙われるスパイ。からくも追っ手を振り切ったスパイが出会ったのは、きのこ狩り中の修道女。スパイと刺客たちの攻防の裏で、修道女の手に渡ったきのこが起こす波打ち際の奇跡とは…。
加藤直輝/Naoki Katou
1980年東京生まれ。立教大学卒後、05年に東京藝術大学大学院映像研究科第一期生となり、黒沢清、北野武らに学ぶ。07年、修了制作『A Bao A Qu』が釜山国際映画祭コンペ部門に出品される。商業デビュー作『アブラクサスの祭』(玄侑宗久原作、スネオヘアー主演)が、福島を皮切りに公開間近。
aramaki
2009年/日本/カラー/HDCAM/26分
監督:平林勇
堀部圭亮の一人芝居によるノーカット、かつ奇跡のワンテイク作品。森の中にいる一人の男。着替えをした彼は、何やら奇妙な行動を始める…。ベルリン映画祭短編部門招待上映作品。
Shikasha
2010年/日本/カラー/HDCAM/10分
監督:平林勇 出演:尾野真千子、堀部圭亮
荒れ地で活動する捜査員達。彼らは暗い空間にいる縛られた親子を発見し、箱を掘り起こす。すると、母親は異常な行動を取り始める…。カンヌ映画祭監督週間招待上映作品。
平林勇/Isamu Hirabayashi
1972年、静岡県生まれ。CM制作と並行して02年より短篇映画の自主制作を開始する。『TEXTISM』がイメージフォーラムフェスティバルでグランプリ、『ドロン』が釜山アジア短編映画祭を含む3つの映画祭でグランプリ、『BABIN』がロカルノ映画祭でW受賞。