マルグリット・デュラス、その光と影
Hプログラム 17日14:00
20世紀のフランス文学を代表する作家、マルグリット・デュラス(1914-96)。映画作家としても才能を発揮し、愛と死をモチーフにした作品を精力的に世へ放ちました。そんな彼女の体温や息遣いまでもが感じられる貴重な短篇作品群を、フィルム上映により、こころゆくまでお楽しみください。
『セザレ』 
1979年/フランス/フィルム/11分 
長編『船舶ナイト号』で撮影されながらも本編に使われなかったショットを用いて作られた短篇。パリのチュイルリー庭園やコンコルド広場の彫像を、緩やかに移動して捉える映像に、デュラス本人のモノローグが被る。

『陰画の手』 
1979年/フランス/フィルム/18分

『セザレ』と同く、『船舶ナイト号』で使われなかった映像による短篇。夜明けから早朝に至る、青い陰りを帯びたパリ市街の様子が車の中から捉えられ、そこにデュラスのモノローグが重なる。
『オーレリア・シュタイネル メルボルン』 
1979年/フランス/フィルム/35分

午後から夕暮れに至るセーヌ河を、ゆっくりと船は行く。移動する船上から撮影された、水と光のきらめきが印象的な作品。橋上の逆光の人影、時に響く現実音とデュラスのモノローグ、死んだユダヤ人へ書き送る愛の言葉が交錯する。

『オーレリア・シュタイネル ヴァンクーヴァー』 
1979年/フランス/フィルム/48分

前作と同じ枠組みを生かした、詩情豊かなモノクローム作品。ノルマンディの海岸や無人の室内、貨物駅などが映し出される中、デュラスのモノローグは、街を破滅させる海の恐怖やオーレリアの父母の強制収容所での死を語る。