カナダと日本をつなぐアニメーション
Iプログラム 17日17:30 【ゲスト来場】
世界中の映画賞を獲得してきた巨匠・山村浩二監督と、昨年の本映画祭「新しい才能」で選出されたカナダの新鋭・木彫り人形アニメーション作家フレデリック・トレンブレイ監督。二人の独創的な作品群と対談から、アニメーションの現在と未来を照らし出します。
『The Drawer And The Crow』 
2009年/カナダ/カラー/13分
家具、壁、絵と白く塗り潰された部屋で眠っている男。目覚めるとクローゼットから物音が聞こえ、彼は隠された扉を発見する。扉を開けてみると、そこには女性が立っていた。二人は部屋で一緒に暮らし始めるが…。

『Princesse』 
2010年/カナダ/モノクロ/11分

猛獣が徘徊する深い森。顔に傷痕を持つ女は、家に閉じこもり、「Princesse」という本を読み返しながら男の帰りを待っていた。ある日、男は怪我をした金髪の女を連れ帰り…。


『Blonche Fraise』 
2011年/カナダ/モノクロ/16分

森で暮らすうさぎの夫妻。夫は毎日外に出て食料を探すが、わずかな量しか見つからず、妻は虫を食べるほど空腹であった。ある日、夫は犬を連れた人間に襲われ、怪我をして  戻ってくる。妻は食料を求め、夫の代わりに初めて外に出る。

監督:Frederick Tremblay(フレデリック・トレンブレイ)

78年生まれ。01年からストップモーション短篇の自主制作を始め、04年にThe National Film Board of Canada(カナダ映画委員会)制作『Remote Paradise』の監督を務めた。08年から自主制作を再開し、『The Drawer and the Crow』が世界7つの映画賞を受賞。最新作『Blanche Fraise』は日本初公開となる。

『頭山』
02年/10分/カラー/日本
何でも拾ってくるケチな男。吐き出すのはもったいないと食べたさくらんぼの種のせいで、頭から立派な桜の木が。木を引っこ抜くと、今度はくぼみに水がたまって池となり…落語の不条理な言葉遊びを楽しく描ききった、日本人初のアカデミー短篇アニメーション賞候補作。
『マイブリッジの糸』
11年/13分/モノクロ/日本

映画の発明のきっかけを作った写真家エドワード・マイブリッジは、妻の不倫相手を殺した殺人者でもあった。彼の数奇な人生と思考が、時間と空間を隔てた現代の東京へと繋がり、運命の瞬間と人間への愛という広大な主題が、アニメーションによって融合する。

監督:山村浩二(やまむらこうじ)

64年、愛知県生まれ。02年『頭山』が第75回アカデミー賞にノミネートされ、07年『カフカ 田舎医者』と合わせ世界4大国際アニメ映画祭(アヌシー、ザグレブ、オタワ、広島)のグランプリを制覇する。10年、文化交流大使としてカナダで活動し、12年に第30回川喜多賞を受賞。東京藝術大学、東京造形大学で後進の指導に当たるほか、絵本作家、イラストレーターとしても活躍している。