今週の根岸さん
Weekly Question to Negishi
ゲストに来ていただくプロデューサー根岸洋之さんのことをちょこっとずつ知っていただく連載コーナーです。ゆる~く楽しく時に真面目にいろいろ根岸さんに聞いていきます!
7.
根岸さんは今回の釜山、以前はカンヌと国内外の映画祭に行かれていると思いますが、海外と国内の映画祭で観客の映画に対する見方等を含め大きな違いのようなものはありますか?

経験としては、海外映画祭での上映は、総じてあらゆる事が盛り上がりへと流れてゆくように思います。それは箸が落ちただけで笑い出す娘、といった古き良き比喩を想起させます。

今まで参加した海外映画祭で、自分が関わった作品の上映に関し印象に残ったベスト5は、

□トロント映画祭で『月光の囁き』が上映された際に水橋くんのマゾ的なあらゆる動きや言葉が笑いをとり、やたらとアッパーな黒人グループがとにかく愉快に爆笑していたのにはびっくり、なんだか嬉しくなりました。
□ブエノスアイレスで『月光の囁き』を上映した際には、結構賛否両論で、後々のパーティでは否定派のおばさん?から英語で後ろ指を指されたのが印象的でした。一方で北欧の批評家さんはさすが性におおらかなのか大絶賛で、いろいろあるなぁと。
□釜山映画祭で『リンダリンダリンダ』が上映されたときは、ぺ・ドゥナがらみの芝居がバカ受けで、松山くんが韓国語で告白するくだりなどはものすごい事になってました。最後のライブも異常にもりあがり、観客のグルーヴ感に包まれとても気持ちよかったです。
□同じく『リンダ』をスペインのヴァレンシアの映画祭で見たときには、香椎さんが毛むくじゃらな腕を進呈される夢のシーンが大受けで、さすがブニュエルの出身国だと納得しました。
□ドバイで『天然コケッコー』が上映されたときには、やはり、さっちゃんの台詞が笑いを呼んでました。終わった後、アラブ衣装の白装束のおっちゃんたちからサインをせがまれたときにはアラブに来たなぁと実感。

●今週のちょこっと根岸さん:映画祭から映画制作のプロデュース依頼なんてあったら考えてもらえますか?
すべてはまず話をきかせてもらうところから始めますのでとりあえずはお話をおきかせてください。
2008年10月3日
6.
映画祭では10日に『神童』映画館では12日から『コドモのコドモ』、そして11月1日からまた映画館では『TOKYO!』と根岸さんプロデュースやかかわられた作品が立て続けに公開になります。仙台の観客の皆さんにそれぞれの映画の見所などネタばれ注意でお教えください。

『神童』
 超一流ピアニストが奏でるモーツァルトやベートーヴェン、クラムボンのミトさんが作曲したロマンチックなピアノ曲、その延長線上にある原田郁子さんの主題歌。ハトリミホさんの魔女的にしてユーモラスな劇伴、などなど物語を追うより音楽を体感するよう感覚的に見ればかなり楽しめます。フツウな松山くんもいいですし。

『コドモのコドモ』
 夏篇はゆったりとしていて、徐々に展開が早くなっていきます。能代の風景、夏と冬でがらりと趣を変える自然の表情はコドモともども見ものでしょう。コドモたちがやり遂げるDo It Yourself精神を肌で感じて下さい。脇役に徹したトクマルシューゴ氏のおもちゃっぽい劇伴、この映画で唯一オトナの貫禄を見せつけてくれた奥田民生さんの元気な主題歌など音楽関係もあいかわらず充実してます。

『TOKYO!』
仙台も充分に都会だと思うので理解しやすい細部もあるとは思いますが、テイストがあまりにも異なった三人の鬼才が傍若無人に撮ったそれぞれの歪んだトウキョウ、その辛口な切り取り方の不思議な共通性に、笑うもよし、ドキッとするもよし、せつなくなるのもよし、いずれにせよスリリングでストレンジな3話です。

●今週のちょこっと根岸さん:
仙台で食べてみたいものとか、見たいものってありますか?

季節がら、刺身とか寿司とかは気になります。
何気なくブラつきシナハン、ロケハンしてみたいですね。
後、いい古本屋教えて下さい。
2008年9月21日
5.
こんにちは根岸さん
自分のプロデュース作品を世に送り出す時ってどんな気分で過ごされるのでしょうか?
そしてどんなことを思いますか?

一口にプロデューサーといっても、企画、資金繰り、キャスティング、マネージメント、製作、仕上げ、配給、宣伝、興行、製作委員会業務とその業務領域は幅広く、実際様々なタイプの方がいらっしゃって、その全てに通じているという人を見た事はありません。どんな優秀なプロデューサーであってもどこかに必ず弱点というか盲点のようなものはあります。
自分自身は、企画、キャスティング、マネージメント、製作、仕上げが守備範囲で、配給、宣伝、興行はどちらかといえば門外漢。それゆえ公開が近づいてきている時期というのは、人任せを基本とし、どちらかといえば補佐役、メインプレイヤーである宣伝プロデューサーなどに門外漢の立場だからこそいえる、あれこれの無茶を投げかけたりして楽しんでます。『実験4号』という短編で、配給をはじめてやりましたが(笑)、すごくシュールな体験でした。

●今週のちょこっと根岸さん:根岸さんの健康法はなんでしょうか?

イーストウッドは若い頃から健康マニアだったらしく、いわゆる菜食主義者、ヴィーガンらしいのですが、わたくしも最近は野菜をメインにすることが多いです。そういえばミシェル・ゴンドリーも菜食主義者でしたね。それとミネラルウォーターはいつも飲んでます。野菜、果実、水、ウィスキーが健康の秘訣といえそうですが、折衷派で、その土地に行けば名産、美味しいものはなるべく食べるようにしてます。ですから仙台では牛タンだって刺身だってなんだって食べるつもりです。
2008年9月9日
4.
こんにちは根岸さん
何かここのところ人との対応でぎくしゃくしています。
根岸さんはプロデューサーとして仕事の際、人とのつきあい方や仕事の進め方で気をつけていることはどんなことですか?

映画作りについてはいいものをつくるという大義名分のもと、あまり遠慮はせずに意見を言うことですかね。その際には礼儀正しさは必須かもしれませんが。

●今週のちょこっと根岸さん:最近気になっている人はいますか?

若手監督で期待できそうなのは、小林章太郎、前田弘二、石井裕也

若手ではないが仕事をしてみたい監督は、西山洋市

他ジャンルで気になっている人
ピート・ヘイン・イーク、オランダのインテリアデザイナー
2008年8月28日
3.
根岸さんがプロデューサーという存在を意識したきっかけは何だったのでしょうか?
そしてその道に進もうと思った大きな理由って何だったのでしょうか?

きっかけはいいかげんなもんですね。大学が推薦で、その際、提出しなければならない「将来なりたいもの」との文章に、映画方面に進みたいと書き、より細かくは学部が商学部なので、映画監督と書くより、プロデューサーとした方がもっともらしいかな?と浅はかにも思い、そう記しました。角川春樹さんなんかが注目されていた頃で、何をやるのかはよく知りませんでしたけど、文学よりは商学に関係あるのだろうとは感じてました。大学に入ってからもプロデューサーを意識した事はありません。自主映画には制作はいてもプロデューサーはいなかったので。日活に入ってからも最初ロマン・ポルノの助監督などをやっていて、プロデューサーといえば助監督を飲ませてくれるちょっとお金をもったおっちゃんというイメージしかありませんでした。だから今でもたまに助監督を飲ませます。プロデューサーはいつのまにかやってたというかやりながら少しずつ覚えつつという感じです。高校のときに書いたいいかげんな文章が“呪い”となって無意識にこちらを動かしていたのかもしれません。


●今週のちょこっと根岸さん:
夏は怪談話などで盛り上がりますが、根岸さんが経験したこわ~い話はありますか?

幽霊とかにあったことがないので、そっち方面ではあんまり・・・。
映画のカメラマンがカメラを覗いてアングルを決めようと調整していたら、フレーム右横に女の髪が不意に入って来たので「そこ邪魔だよ、どいて」と何度かつぶやくのだけれど、なかなかどこうとしない。なんだよ、おい、としまいには怒りだしカメラからはずれて右横を見るとそこには誰もいなかった・・・・。
なんて話を現場のカメラマンからきいたことがありますけど。
2008年8月20日
2.
梅雨も空けました。
この夏の根岸さんはどんな活動をなさいますか。10月は勿論映画祭に来ていただくのですが、この夏の根岸さん情報などを教えてください。

おつかれさまです。
この夏は、次の山下組、萩生田組などのホン作りや企画開発、そして公開が迫りつつあるTOKYO!、コドモのコドモなどの宣伝展開、さらには種々のマネージメント業務なとでそこそこ忙しいのですが、映画や本に接する時間も案外あっていろいろ勉強させていただいており、PFFのダグラス・サークなどは何本か観ました。


●今週のちょこっと根岸さん:
最近読んだ本でおもしろかったものはありますか?お勧めなどありましたら教えてください。

○内田樹の「こんな日本でよかったね - 構造主義的日本論」
ここ数年彼の著作を読む事が多かったわけですが、今回はかなりおもしろく読めました。ごく近くにこの本に出てくる症例に近似した女性などもおり、リアルだなと思えました。

○宇野常寛の「ゼロ年代の想像力」
リンダリンダリンダについての記述を見かけ、即購入、微かに疑いながら読んだところ、知らないジャンルの話も含め刺激も多く、一方でつめの甘い面も感じながら、結局はおもしろく読めました。次の著作が楽しみです。

○「西部劇」G・N・フェニン、W・K・エヴァソン
相当昔に買ったぶあつい翻訳本ですが、DVD等で様々な西部劇を見直しつつあるこの数ヶ月、少しずつ読みかえしつつある西部劇通史でありまして、批評基準の是非はともあれ、知らない事も数多く記載されており、かなり個人的には盛り上がっております。
2008年7月30日
1. 頭の中
第一回。
根岸さんの頭の中は映画でいっぱいかと思いますが、根岸さんの頭の中を円グラフにすると映画は何パーセントなのでしょう。根岸さんの頭中を円グラフで教えてください。はかは何で締めているのか興味津々です。
ちなみにOFFとONとではかなりちがっていますか?



●今週のちょこっと根岸さん:好物は何ですか?

シークァーサーサワー
シングルモルトウィスキー、特にグレンリベット18年
それに水
2008年7月23日
根岸洋之/Hiroyuki Negishi
1961年生まれ。群馬県出身。早大商学部卒業後、85年に日活撮影所入社、ロマンポルノの助監督を経て90年森崎東監督のドラマ「離婚・恐婚・連婚」でプロデューサーデビュー。以降、中田秀夫監督の短編ドラマ「幽霊の棲む旅館」(92)、北川篤也監督のO・V『インフェルノ蹂躙』(97)を皮切りに、井筒和幸監督の『のど自慢』(99)、塩田明彦監督の『月光の囁き』(99)、『害虫』(02)、杉森秀則監督の『水の女』(02)などの劇映画のプロデューサーを担当。一方で映画百年にちなんだドキュメンタリー「ニッポン娯楽映画の系譜」(95/NHK-BS)のディレクターも務め、歌謡映画への関心より書籍「唄えば天国」(99)を編著。03年独立後、山下敦弘監督の『リンダリンダリンダ』(05)を製作、ヒット作となる。05年よりピクニックに入社、萩生田宏治監督の『神童』(07)、『コドモのコドモ』(08)、山下敦弘監督の『天然コケッコー』(07)等をプロデュース。他にTHE BACK HORNと山下監督によるオムニバス短編「キズナドラマ」(05)、)、伊坂幸太郎と山下監督によるコラボDVD小説「実験4号」等のプロデューサー、ミシェル・ゴンドリー監督の短編「インテリアデザイン」(オムニバス映画『TOKYO!』の一篇)のエグゼキュティブ・プロデューサーも。
NEWS & TOPICS
  • 9月29日
    プレミア上映告知、「神童」への山尾敦史さんのコメントを掲載いたしました。
  • 9月5日
    予告編ページ、特別企画「ハンガリーからこんにちは!」、2008年度ケータイサイトオープンしました。
  • 7月25日
    2008年度ホームページリニューアルしました。
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