上映作品 (A~Fプログラム)

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A キャメラマン佐内正史 16日(土)13:00

佐内正史の写真を見る度、何気ない風景の中に無数の物語を発見する。何度も見たはずの写真なのに、見る度に空の色や光の色が違っていたり、空気の温度さえ変わって見える。そんな写真家佐内正史が、撮影というかたちで映画にかかわった2本の作品。佐内正史のうつしだす動く風景の中にも、また映画とは別の物語を発見することができる。撮影という切り口から映画を見る、という新たな試みのプログラム。

たべるきしない
2006年/日本/カラー/35mm/20分
監督・脚本・編集:伊藤由美子(東北新社)
撮影:佐内正史
出演:綾瀬はるか、佐藤貴広、清水沙映

誰かと一緒に過ごした、かけがえのない時間。その本当の重みを知るのは、いつも全てを失った後…。最近ナオはお腹がすくのに、たべるきがしない。原因は竹中君と別れたこと。全然平気だと思っていたのに、お腹にぽっかりと穴があいているみたいで…この穴がふさがる日は来るのかな。少しずつ成長する女の子の気持ちを映しだした、瑞々しいショートフィルム。

HAWAIII
2003年/日本/カラー/DVD/39分
監督:SANAYUMI 撮影:佐内正史
音楽:伊藤由美子(東北新社)

HAWAII
成田空港に向かって、高速道路、白い風景写真。トンネルの中に入っても、白い風景が後ろからついてきて、そのうち前に現れる。ハワイについたら、ハワイイいい気分。風が吹いたら雑音とかいろいろなくなって、裸 がいる。(佐内正史)

B アイライクミュージック、アイライクムービー 16日(土)14:30

「映画館を出る時、口ずさみたくなる音楽がある」
ジャズ、クラシック、ロック、ボッサと、ステキな映画にはステキな音楽がよく似合う。今回ショートピースがおススメするのは、映画と音楽が描きだす、個性あふれるミュージック・ムービー。言葉を音符に置きかえて紡がれる、音楽と映画の新しい関係。映画好き、音楽好き、そして映画も音楽も大好きなあなたのためのプログラムです。

注文の多い料理店
1991年/日本/カラー/16mm/19分
監督:岡本忠成

森の奥深く、道に迷った二人の猟師は、霧の中で「山猫軒」にたどり着く。そしてあやしげな注文に導かれ、奇妙な世界へと…。誰もが知っている宮沢賢治の名作『注文の多い料理店』を、言葉ではなく音楽によって描いた作品。ジャズとアニメーションが作りだすディープな賢治ワールド。

THE MASTER OF SHIATSU 指圧王者
1989年/日本/カラー/35mm/13分
監督:石井聰亙 出演:浪越徳治郎

「指圧のココロは母心」で有名な浪越徳治郎氏がほどこす指圧は、女性を悶えさせ、やがて都市をもうねらせる。高層ビルから見下ろされる渋滞が、彼の指圧によってスーッと解消される。セリフなし、音響と音楽のみで繰りひろげられる異色の作品。

ボレロ
1992年/フランス/カラー/35mm/8分
監督:パトリス・ルコント 出演:ジャック・ヴェルレ 音楽:モーリス・ラヴェル

ラベル作曲「ボレロ」の隠れた主役は小太鼓奏者だ。同じリズムを同じテンポで最後まで刻みぬくこと、それが最重要課題。そんな彼に次々と襲いかかる魔の手とは…?!巨匠と名優が奏でる抱腹絶倒の8分間。

Sand Dunes
2005年/日本/カラー/DVD/5分
アニメーション・監督:ウイスット・ポンニミット

ある晩、少年は暗い夜空を飛んでいく光を見た。頭の中のそのイメージにとりつかれたように少年は、ひっそりとUFOを作りはじめる。空へと飛び出した少年が見たものとは?

歌手
アニメーション・監督:ウイスット・ポンニミット

道を歩く男の耳に入った美しい歌声、メロディ!その歌声を完璧なものにすべく男が起こした行動は・・・。
立てノリ音楽業界のアレコレに、それでもエヴァーグリーンな歌声はあるべき場所へと向かっていく・・・。

C Boy meets boy in the Night 16日(土)16:00

今年15回を迎えた「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(TIL&GFF)」は、セクシュアル・マイノリティをテーマとした作品を国内外から幅広く集め、発信してきた。「ハッシュ!」の橋口亮輔監督の初期作品も、いち早く紹介している。性別を問わず、自分にとって特別な人・大切な人に向けられるまっすぐな思いと、それを捉える真摯なまなざしは、観る者の心をざわめかせ、時に不思議な余韻を残す。「ブロークバック・マウンテン」など同テーマが映画界に広く浸透し始めた今、さらに新たな世界に触れてほしい。TIL&&GFF過去のプログラムから、「夜」を舞台とした作品をご紹介。仙台はもちろん、東北地区初上映となる。

ワンダフル・デイ
2003年/オーストラリア/カラー/13分
監督:ロビー・ボルドウィン

母危篤の知らせを受け、病院に駆けつける青年。シドニーオリンピックにわき返るオーストラリアの片隅で、幼い頃の記憶が断片的にフラッシュバックしていく。

訣別の河
2003年/ドイツ/カラー/23分
監督:ファルク・ウルブリッヒ

漆黒の河をゆくフェリー船上で、二人の男の心は激しくぶつかり合う。モノトーンの映像が美しい。

最後の夜に
2003年/カナダ/カラー/20分
監督:グエズ・マシュー

一人の女、二人の男。言葉は通じなくても、心と身体で通じ合う。それは現か、幻か。それぞれの揺れる思いを、叙情豊かに描く。

D SF中野ブロードウエイ! 16日(土)17:30

中野裕之はサービス満点だ!中野裕之はかなりの笑顔の持ち主だ!そして中野裕之は誰よりもパワフルだ!そんな中野裕之監督のパワーが詰まったプログラム。元気でスピーディで楽しいことはもちろん、環境問題にも長く取組んでいる中野監督の「ピース」な物語は、さらに強く進化し続ける。3つの「ピース」は、時に激しく、時に静かに緩やかに心にしみ込んでくる。極上の中野ワールドをご覧あれ!

アイロン
2005年/日本/モノクロ/15分
監督・脚本:中野裕之 原作:東本三郎 プロデュース:伊藤満  撮影:笠松則通
出演:家住勝彦、阿達加寸幸、細野佑美子 他

第59回カンヌ国際映画祭国際批評家週間短編部門/ヤング批評家賞
白いものを見ると、アイロンをかけたがる男。何事にも筋の通らない今の世の中に、若き仁侠の徒が語りかけるものとは…。生きる事の複雑さをアイロンに込めて伝えようとする、男の不器用な生き様と心の葛藤を描く。白黒を基調とした色使いが“和”の世界観を感じさせる秀作。

RE:サイクル
2005年/日本/カラー/19分
監督・脚本・撮影:中野裕之 エグゼクティブプロデューサー:藤原俊祐、ナガオカケンメイ
出演:岡本杏里、川口かの子、清水ゆみ、今井美樹、藤井 尚之、安齋肇、浅野和之 他

主人公は、とあるクリスタル製の「グラス」。そのグラスは、ある日持ち主の引越しとともに、「いらないモノ」として捨てられてしまう。幾度か繰り返されるグラスとの別れを、女の子が大人に成長していく過程の中で、繊細な物語として描く。“真の価値あるもの≠大切なモノ”は何かをテーマに、物語は進む。

全速力海岸
監督・脚本:中野裕之 企画:本田昌広 プロデューサー:田村広瑛 柳原一太
撮影: 加藤昌一
出演:村上淳、渡辺真起子、綾野剛、細井ゆめの、森下能幸

この海岸には伝説がある。北に向かって祈りながら走ると、願いが叶うっていうんだ。

E その人の名は、唯野未歩子/タダノ ミアコ 17日(日)12:30

映画で、ドラマで、CMで、華奢でショートカットの彼女は、ふわふわと、それでいて確かな存在感をまとい私たちの前に現れる。女優だけに止まらず、05年には『三年身籠る』で長編劇映画監督・脚本家デビューし、同名の原作小説の執筆により作家デビューも果たした唯野未歩子の、出演作品、監督作品を特集。簡単にはつかみきれない彼女の魅力を、自分の目で確かめるべし!

縞々職人
2003年/日本/カラー/ビデオ/10分
監督:唯野未歩子
出演:鈴木卓爾

日本にはしましま専門の「縞々職人」というものが存在するのです(?)。縞々職人の日常と悩みを描いたこの映画を観れば、彼らの仕事がどんなものかよく理解できるはず。ところで、この仕事に就くのに資格は必要なのでしょうか?

sweet
2000年/日本/モノクロ+カラー/ビデオ/31分
監督:唯野未歩子
出演:鈴木さゆり、中村由美子、唯野友歩

様々な年代の女性達、少女達の姿は、全く別々の人生を生きているようで、でもどこかで繋がっていて、それはこの映画を観ているわたしたちの姿のようでもあり…。女性達の心のひだを丁寧に描いた、ビターsweetな作品。

俺の空(くう)
1999年/日本/カラー/ビデオ/10分
監督:井口昇
出演:唯野未歩子、井口昇

暗い片目の奥に情念の炎が燃え上がる!美女とフリークスの物語。傷つけたい欲望と赦しを見据える、井口昇の原石的な異色短編。

Don't Look Back In Anger(ワンピースvol.3)
1998年/日本/カラー/ビデオ/16分
監督・脚本:斎藤久志
出演:唯野未歩子、鈴木卓爾、丹治匠

友人の結婚式への出席の為、礼服を取りに実家へ帰ると、以前から好意を持っていたバイト先のリョウコが弟・ケンジと一緒にいる。その日、両親は旅行に行っていないと言う。リョウコはビデオを見せてもらいに来ただけだと言うが…。「サンデイドライブ」の原型になったワンピース「Whatever」に続く、オアシス・シリーズ第二弾。

F 映画の種をさがしに 新しい才能に出会う 17日(日)14:30

仙台短篇映画祭では、開催2年目の2002年から短篇作品を募ってきました。常に私たちのなかにあるのは、「新しい映画の種をみつけたい」という強くてシンプルな想いです。毎年寄せられるたくさんの作品たちも、それぞれの作家たちの強い想いで形づくられていると信じながら。そんな公募プログラムも、5年目を迎えます。今年はどんな種に出会うことができるのか。「114本分の4本」の作品のなかに、何かをみつけることができるのは、みなさん一人ひとりです。あなたの目を、耳を、この映画の種に注いでみませんか?今年も各作品の監督と、コメンテーターに古厩智之監督を迎え熱いトークを展開します。

Un Poco Loco
2005年/日本/DV/カラー/20分
監督:赤尾零

姿をくらましながらも新作を発表し続けているとされる音響系音楽家ヘッドイレイザーは、すでに死去しておりこの世に実在しない。この説を証明すべく木島に雇われた野本。「存在しないことを証明するのは存在することを証明するよりも難しい」木島はもっともらしく述べ立てるものの、実際には遊んでいるだけで全くやる気がない。その妻きえは嘘とも本当ともつかない発言を連発するだけでその言動にはつかみ所がなく、やがて目的と無関係な方向に展開していく。

akao赤尾零 あかおぜろ
1970年東京都出身。
映像制作業のかたわら、映画制作を行っている。
好きな音楽はラテン。

電信柱のお母さん
2005年/日本/DV/カラー/10分
監督:坂元友介

電信柱の下に捨てられた赤ん坊、心優しい電信柱はその子を愛情と電線で育て上げる事を決心する。

sakamoto坂元友介 さかもとゆうすけ
1985年栃木県出身。
受賞歴
2002 キリンアートアワード奨励賞受賞
2004 東京コンペビジュアルアート部門アーバンミュージアム大賞受賞
2004 NHKデジスタ デジスタワード2004映像部門グランプリ
2005 第五回ユーリ・ノルシュテイン大賞優秀賞受賞
2005 21世紀アジアデザインコンペ審査員賞受賞
2006 第六回ユーリ・ノルシュテイン大賞最優秀賞、観客賞受賞
2006 東京国際アニメーションフェスティバル公募部門東京ビッグサイト賞受賞
グループ展
2005 フランス パリ カルティエ財団現代美術館「私はそれを夢見ている」展
2006 日本 横浜 「ZAIMオープニングフェスティバル」

またたく魔
2005年/日本/DV/カラー/17分
監督:田平衛史

「今年のラッキーアイテムは、お見合い写真です。」
町の写真館にお見合い写真を撮りにやってきた富乃。しかしあいにく店長が不在だったため、アルバイトの霧島が代わりに撮影をする事に。機材の扱いに手間取りながらもなんとか準備は整い、霧島は富乃に向けてシャッターを切った。ところがそのとき…一瞬の「時間」と一瞬の「思い」と。一枚のお見合い写真を巡って物語は「またたく魔」に思わぬ方向に転がりだす。

tahira田平衛史 たひらえいじ
1978年島根県生まれ。2000年九州芸術工科大学画像設計学科卒。
在学中から独学で映像製作を始め、卒業後上京。TVCMの編集スタジオに就職。
退社後、映画「美女缶」にスタッフとして参加。並行して本格的に自らの映画製作を始める。
撮影半年、編集と音作業に一年を要し「シノブゴコロ」(2003)を完成させる。
その後「+A」(2004)を製作し、ロンドンやベルギーなど海外での上映も行う。
2005年11月に「またたく魔」と前2作を合わせて単独映像個展「ブックマーク~東京田平展~」を渋谷アップリンクファクトリーにて開催。
現在は映像の仕事などをしながら初めてとなる長編作品を構想中。

パリレリーナの穴
2005年/日本/16mm/カラー/19分
監督:日原進太郎

祖父のアトリエで絵を描きつづけるヨウチョン。彼の夢は、一人前の画家になること。ある日、彼は壁に空いた小さな穴を見つける。覗くと、そこには華麗に踊りつづける女性の姿があった。

hihara日原進太郎 ひはらしんたろう
1980年大阪府箕面市生まれ。早稲田大学在学中に、劇団東京ティンティンに所属し、役者・制作として数年間芝居に携わる。その後、東京ビジュアルアーツに入学。映画を学び始める。現在は、イメージフォーラム付属映像研究所に在籍し、形に囚われない映像表現について考察中。