上映作品 (G~Kプログラム)

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G そして青春はつづく 古厩智之 17日(日)17:30

『まぶだち』の少年達の日々、『さよならみどりちゃん』の西島秀俊の満面の笑顔・・・古厩作品に漂うのは、退屈とユウウツと気楽さを抱えて過ごした夏休みの気分。誰もが体験しているけれど、言葉にし難いそんな気分を見事にフィルムに焼付け、観る者の心を熱くする古厩智之監督の短篇作品を特集上映。

それっきりだった
2006年/日本/カラー/16mm→HD/14分
監督・脚本:古厩智之
出演:黒川芽以 武田航平

「少女が男装する」というお題で作られたショートフィルム集『東京少年』のうちの一本。
田舎に住む少女は、先輩が好きで堪らない。駅で居眠りする先輩を見つけた少女。先輩のバッグをそっと開け、彼の 学ランを着てみるのだが…。

丘を越えて
2006年/日本/カラー/HD/26分
監督:古厩智之 脚本:渡邉睦月 原作:南Q太
出演:京野ことみ、遊井亮子、西島秀俊

昔から男運の悪いチカ。今回も恋人・高史の為に、風俗の店で働いてお金を貢いでいたのに、高史に捨てられ、家を追い出され、さらに持っていた荷物まで盗まれてしまう。途方に暮れたチカは、友人・るみの部屋に居候することになった。居候代を払うため、居酒屋のバイトを始めたチカは、ある日、バイト先の居酒屋中学の時の家庭教師だった沢田と再会する。

晩菊
2006年/日本/カラー/HD/26分
監督:古厩智之 脚本:中邨武尊 原作:林芙美子
出演:結城しのぶ、大倉孝二

銀座のクラブ時代につきあっていた守は、悦子にとって忘れられない男性であった。
その守から食事の誘いが来た。3年振りの再会。悦子は守から誕生日に貰った指輪をはめて会いに行く。その指輪は悦子にとって思い出の玉手箱であった。そしてもし守が指輪に気づかなかったら、守との思い出を捨ててしまおうと決心し、守をある場所へと連れて行く。

H ぼくらの伯父さん 18日(月・祝)13:00

こんな伯父さんがいたら大変?でも、こんな伯父さんがいたらきっと楽しい!お洒落でユーモラスで、ちょっとクールな伯父さんは、大切な事をたくさん教えてくれる。トリュフォー、ゴダール、タルコフスキーをも虜にしたぼくの伯父さん。その名はジャック・タチ!ちょっと心に暗い雲が立ち込めてきたら、伯父さんに会いにいこう。雲をはらって青空を呼んで、虹まで架けてくれる事間違いなし。今日、ぼくの伯父さんはみんなの伯父さんになる。

左側に気をつけろ
1936年/フランス/モノクロ/35mm/12分
監督:ルネ・クレマン 脚本:ジャック・タチ
出演:ジャック・タチ、マックス・マルテル、J・オーレル

ミュージック・ホールのスターだったタチが、ルネ・クレマン監督で主演した戦前の貴重な短篇。スリムで敏捷な身のこなし、それでいて優雅な若き日のタチの姿は必見。農場の特設リングで、プロボクサーの相手をするはめになった作男ロジェの珍妙なボクシング騒動を描く。ゴダールが『右側に気をつけろ』でオマージュを捧げたことでも有名。

郵便配達の学校
1947年/フランス/モノクロ/35mm/15分
監督・脚本:ジャック・タチ
出演:ジャック・タチ、ポール・ドゥマンジュ

1947年度マックス・ランデール短篇喜劇映画賞
タチの最初の短篇で、無声喜劇の再来として絶賛された作品。郵便配達の訓練学校で学校を出た郵便配達人が、航空便に間に合わせようとスピード郵便配達を実践するドタバタ騒動を描く。冒頭の配達訓練場面の絶妙の面白さ!長篇『のんき大将』の原形としても興味深い快作。

ぼくの伯父さんの授業
1967年/フランス/カラー/35mm/28分
監督:ニコラス・リボウスキー 脚本:ジャック・タチ
出演:ジャック・タチ、マルク・モンジュ、『プレイタイム』の出演者達

『プレイタイム』の撮影中に、同じセット、役者を使い、助監督が監督となり、タチ脚本・主演で撮られた短篇。タチ教授の珍妙な講義と演習として、釣りやテニス、乗馬といったミュージック・ホール時代の十八番と、繊細な観察に基づく身振り芸、さらに驚くべきことに『郵便配達の学校』の授業場面の舞台版さえも披露される。

I 短くても長い? 18日(月・祝)14:30

ロシアの映画作家アンドレイ・タルコフスキー。たった7本の長篇作品のなかには、2時間半を越える長い映画がひしめいている。でも、実際に長い映画であるかどうかに関わらず、彼の映画には「たゆたう」という言葉がふさわしい。私たちの意識をいつしか取りこんでしまうような、あのゆるやかな時間の流れ。打ち寄せるイメージ。彼の映画を見ている間のあの体感時間の長さは、そうざらには経験できない。そんな彼にも短篇があるのです。長ーいタルコフスキーの、短い映画。観てみたいと思いませんか?東北初公開です。

殺し屋
1956年/ロシア/モノクロ/35mm/20分
監督:M・ベイク、A・ゴルドン、A・タルコフスキー
原作:アーネスト・ヘミングウェイ/脚本:アレクサンドル・ゴルドン、アンドレイ・タルコフスキー

1956年、タルコフスキーが全ロシア国立映画大学3年生時、同級生と共同製作した処女作である。へミングウェイの同名小説を原作に、脚本・監督を務めた本作は、タルコフスキー自身も出演し、口笛を披露している。アメリカの田舎の食堂を舞台に、店員と常連客と、そこに闖入する二人の殺し屋の物語が展開される。

ローラーとバイオリン
1960年/ロシア/カラー/35mm/46分
監督:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:A・ミハルコフ=コンチャロフスキー/アンドレイ・タルコフスキー

1961年 ニューヨーク国際学生映画コンクール1位
映画大学の卒業製作であるこの作品は、タルコフスキーが単独で監督を務めた初めての映画である。撮影のワジーム・ユーソフは、この後『僕の村は戦場だった』『アンドレイ・ルブリョフ』『惑星ソラリス』などでもタルコフスキーとコンビを組むことになる。音楽学校に通う少年と青年労働者との友情が、バイオリンとローラーというまったく別の世界に属するものに象徴されている。

J 「Next One」と彼は言った。 18日(月・祝)16:00

2002年から仙台短篇映画祭では、映画制作を行っている人たちの作品を、映画祭という場を通してたくさんの人に知ってもらいたいと、「新しい才能」というキーワードのもと公募による作品の上映を行ってきた。映画祭の節目に、このプログラムに登場してくれた作家のその後、それぞれがどういったかたちで映画とかかわり、つくり続けているのか、確実に前に進んでいる彼らの「今」を、確認してほしい。

ヘヴンズシャンプー
2004年/日本/カラー/ビデオ/10分
監督・脚本・編集:山藤みほ
出演:成田血糖値、嶋澤ひろみ、中野圭、網野圭介

その店でシャンプーしたヒトは、みんなシアワセになれるという美容院。
その名もへヴンズシャンプー。
今日のお客様は、現実と幻覚に怯えてバスタブに隠れる男だった。

山藤みほ (やまふじ みほ)
多摩美術大学卒業
2003年『ジェットカゼジェリ→』(第6回インディーズムービーフェスティバル入選)(第3回仙台短篇映画祭入選)
2004年『ニセの虹』 (第7回インディーズムービーフェスティバル入選)『ヘヴンズシャンプー』
2005年『ニセの虹』第7回インディーズムービーフェスティバル第3位入賞、ニセの虹、へヴンズシャンプーの完結編『バスタブにニセの虹』完成上映会開催
2006年THE PINK☆PANDA(ライブDVD)「PANDA FOR ALL ALL FOR PANDA」監督、LittleSadisticDoors(PV)「サーカス団にでも」監督、テンポラル(PV)「ハナノキロク」監督、現在PV、ライブDVDの制作などを中心に活動中

プレリュード
2003年/日本/DV/カラー/DV/3分
監督:日向朝子
出演:杉山彦々

元来グータラな正確の僕だが、夏になるとなぜか毎朝9時には目を覚ますのが日課になるのだから不思議だ。8月30日、隣のなっちゃんから「となりのおにいちゃん」である主人公の“僕”に、1枚のはがきが届く。

OVERCOAT & MITTEN
2005年/日本/カラー/DV/23分
監督:日向朝子
出演:田中 圭、美波、杉山彦々

あるクリスマスの夜。あるアパートの一室で出会った「住人の弟」と「住人の恋人」。
彼は本当に弟?彼女は本当に恋人?住人の「兄」を待ちつ二人に舞い降りてきた、不思議な一夜の物語。『プレリュード』のプチ続編。

日向朝子 (ひゅうが あさこ)
1978年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒。大学在学中に映画製作を始め、卒業後、CM制作会社
に入社。退社後の2003年、短編映画『Finder』でショートピース!仙台短篇映画祭審査員奨励賞を受賞。同年、長編映画脚本『SEESAW』でサンダンス・NHK国際映像作家賞日本部門優秀賞を受賞。共同脚本作品に『青空のゆくえ』(長編映画/2005)、監督作品に『大停電の夜に~ナイト・オン・クリスマス~』(フェイク・ドキュメンタリー/2005)、『RWAITER』(短編映画/2005)等がある。

黄昏家族
2005年/日本/カラー/DV/16分
監督・脚本:入江悠
出演:杉山彦々、三浦麻美、松島浩平、高橋明、高橋純子

ベーシストを諦めた兄が帰ってきた。その時、父は、母は、妹は。
2005年秋、池袋シネマロサにて劇場公開。

入江 悠 (いりえ ゆう)
1979年神奈川県出身。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。大学時より映画制作を始める。
2005年短編映画集「OBSESSION」を池袋シネマロサにて劇場公開。ショートピース!仙台短篇映画祭の他に、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭、水戸短編映像祭、長岡インディーズ映画祭などで入選。
秋、「パビリオン山椒魚」(冨永昌敬監督)に演出部として参加。
2006年今秋、初の劇場用長編映画「ジャポニカ・ウイルス」(主演:斉藤陽一郎)が公開予定。

35度の彼女
2005年/日本/ビデオ/カラー/12分
脚本・監督:筧昌也
出演:川岡大次郎 山岸彩子 藤川俊生

バスの中で高校時代のクラスメートを目撃。男は時空を超えて、シミュレーションを始める…。

筧昌也 (かけひ まさや)
1977年東京生まれ。映画、マンガ、イラストと幅広く手がける。
2003年自主映画『美女缶』が国内外の映画祭で数々受賞し04年劇場 公開し05年「世にも奇妙な物語」でセルフリメイク。
「ロス:タイム:ライフ」などショートフィルムを中心に活動中。
小説版「美女缶」の執筆も手がけ、WEBでは漫画連載も行ってい る。WEB漫画「THE 不眠SHOW」(http://www.x-tv.jp/)
http://iksite.net/

K 「世界はどこにあるの?」賈樟柯ジャ・ジャンク- 18日(月・祝)18:30

若干31歳にしてカンヌ、ヴェネチア、ベルリンの三大映画祭を制し、世界中の観客の熱狂とともに迎えられたジャ・ジャンクー監督。今回は、日本ではなかなか見ることのできない彼の学生時代の短篇作品『小山の帰郷』を上映する。さらに、前夜祭として、長篇最新作『世界』を仙台では初めてスクリーンに登場させます。ジャ・ジャンクーの「はじまり」と「いま」を、ここ仙台で、映画館で、肌で感じてください。そのとき、「世界」は、どこか遠いところではなく、私たちの前にひろがっています。

『小山の帰郷』
1995年/中国/ビデオ/カラー/73分
監督:賈樟柯ジャ・ジャンクー

北京電影学院在学中に「青年実験電影小組」を結成して制作した作品。田舎から都会へ出てきた青年が、失意のうちに帰郷しようとする姿を、なまなましい音と映像で構築している。後の長編第一作『一瞬の夢』にもつながる、ジャ・ジャンクーの「はじまり」とも言える短篇。
1996年香港インディペンデント・ショートフィルムコンテストでグランプリを受賞。

賈樟柯 ジャ・ジャンクー
1970年、中国山西省フェンヤンに生まれる。1993年に北京電影学院に入学し、95年に今回上映する『小山の帰郷』を監督。この作品で香港インディペンデント映画祭の金賞を受賞し、香港国際映画祭でも正式に上映された。1997年に『一瞬の夢』を、2000年には『プラットホーム』、さらに2002年には『青い稲妻』を監督。この作品では、初登場にしてカンヌ映画祭のメインコンペティション部門に招待される快挙を成し遂げた。
欧米の批評家のみならず日本でも蓮實重彦氏に〈「傑作」を遥かに超えたこのフィルムに不意打ちされ、見終わってからしばし息もつけなかった〉と言わしめるほど、国際的に新作を待望されている監督の一人である。