カチンコメンタリー
6. ずっとLike、ばったり会うと。
100円でピンホール原理を応用した視力トレーニングメガネをついつい買ってしまった近眼&乱視の田中博之です。髪も切りました。いや、その、つまり、ええ、あまり今回はネタが無くって。毎週連載している人は苦労してるんだなあと実感しました。
最近、黒澤明監督の映画を毎週1本みるようにしています。『隠し砦の三悪人』を見ました。ごめんなさいっ実は今まで見てなかったんです。いやっ傑作娯楽映画!!これをもし学生時代に見ていたら僕の映画は全く違うものになっていたでしょう。たぶん姫様を守る凸凹ロボット二人組の話になったかもしれない。でも子供の頃ジャッキーチェンの映画が好きだったけど、今撮ってないなあ。
ジャッキーつながりではないですけど『シティハンター』(アニメ)の格好良さはやっとやっと分かりました。スケベで優しくてクール。イイ男です。イイ音楽です。

9月13日。学生の撮影現場へ。あぁぁ、美術ぅぅ、、、いくら予算が無いからって、、、ダンボールのつぎはぎが写ったらダサイでしょぉぉ、、、隠そうよ。せっかく苦労して撮影してるのに。自分への戒めをこめて書くけど、予算が無い事は手抜きしていい事にはならない。

9月15日。靴を買う。なかなか予算に見合った靴が見つからないので、結局、今まで履いていた靴と同じ靴を買った。服でも靴でも、良いなコレ、と思ったものはやっぱり高いんですよね。
帰りがけに近くのスーパーに寄る。と、スーパー内にハンバーガーショップがあり、その入り口に映画のチラシがいっぱい貼ってあったので入ってみた。おそらくチェーン店であろう。珈琲を注文してテーブルで待つ。珈琲を持って来てくれた店員さんに一応聞いてみる。

「なんか、映画のチラシがいっぱい貼ってありますよね」
「あ、ハイ」
「あれって何か、何かこちらと関係あるんですか?」
「いえ、オーナーの趣味です」
まだ、負けんぞ。
「あの、なんか、映画館の割引とか、もしかして」
「いえ、とくに」
うん。分かってたよ。でも。

9月18日。ハマジマさんと機材の片付け。
数日前、EDIROLのP-10という映像サンプラーの機材を島村楽器で触ってみたが、惜しい。映像を切り替える際、ほんの一瞬、頭の静止画が残ってしまう。同社のPR-50では起きないのに。ものすごく残念。なんとか改善できないでしょうか?EDIROLさん。

9月20日。『TOKYO!』見ました。
学生の時、初めて監督した作品は塚本晋也とレオスカラックスのカット割りをパクるのに全力を注ぎました。スクリプターは記録用紙のカットの説明を書く欄に「バレットバレエのパクリ」と書いてました。書かんでいい。
同級生に見せてもらったビョークのPV集のHyperballadを見たときの興奮。当時はDVDを買うお金が無かったので頭に刷り込ますために何十回と繰り返し見ました。
そしてポンジュノ。
こんな大好物の3人で、面白くないわけが無い。っもう。
カラックスが元気だったので嬉しい。
宣伝の相良さん、『20世紀少年』も見ましたよぉ。

11月後半の話ですが、KUDAN
Project http://www.officek.jp/kudan/
の『美藝公』という芝居で東南アジア公演の映像スタッフに参加するためインドネシアとマレーシアに行きます。初めての海外です。東南アジア通の誰かアドバイスをしてくれると助かります。無事に帰ってくるためにも。

髪を切り 一度きりの人生 おもいきり
スットライク バッターアウト
2008年9月25日
5. 若者よフィルムにひるむな
こんばんわっご無沙汰の田中博之ですっ。最近は少しヒマだったんですが逆に書く内容が無くって困りました。先日レンタルDVDで「潜水服は蝶の夢を見る」を見直しました。がっかりでした。映画館で見たときの奇跡の映像美がほとんど失われていたのです。あの夢のようなフィルムの淡い質感が、ヤヌス・カミンスキー(撮影監督)とジュリアン・シュナーベルの奇跡が、すごく小さくなってしまった。ミニシアター系に納められてしまった。キャスリーン・ケネディがプロデューサーなのにミニシアター系。しかも1本しか置いてない。うーん、残念だなあ。みんな劇場で見て下さい。「潜水服は蝶の夢を見る」はフィルム限定。

8月30日。名古屋ビジュアルアーツへ。一年生の16mm撮影課題の試写をチェック。夜間生の16mm撮影現場を付き添う。やはりフィルムで撮影をすると何が自分たちに足りてないのかよく分かると思う。フィルムの不便さや困難さが学生を強くすると思う。

8月31日。姉が会社で映画のチケットをもらったと言うので、僕と姉と母の三人で『ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌』を観に行く。いやあ。家族の縁というのは不思議なものですね。鬼太郎。全く観に行く気はなかったんですが。楽しいです。
僕が映画の道に進んだのも家族の軽~い一言でした。高校三年のとき兄から
「映画でも撮ったら」
と。あ、そうか。と僕はなんの疑いも無く、むしろ自信満々で「俺は映画を撮れるんだ」と思い込みました。それまで映画は金曜ロードショーと日曜洋画劇場ぐらいしか見てない僕が。ジャッキーチェンとスピルバーグと宮崎駿ぐらいしか知らない僕が。あの軽さが不安を抱かせなかったのでしょう。
もしあの時、
「お前には映画の才能がある。映画を撮るべきだ。映画の道を進め。行け、行ってくれ、僕らのために行ってくれ!」
などと言われていたらメーヴェで逃げたと思う。

9月1日。「歯周病菌がいますね」歯医者の定期検診で言われる。ショック。毎日歯磨きしてるのに。「ええ。歯はちゃんと磨けてます」じゃあなんで?「たぶん誰かにうつされたんでしょう」誰だ?ていうか伝染るの?「はい。風邪と同じようなもんです。ペットボトルを回し飲みしたり、お箸を使い回したり、もし恋人がいらっしゃったらキスなどでもうつります」へ~。そんな簡単にうつるもんですか。もし。歯磨きじゃあ防げないんだあ。薬をもらって治す。もういないので安心して下さい。

9月9日。メイクの奥野さんからチケットをもらったので『ミス・サイゴン』を観に東京へ。ミス・サイゴン。帝国劇場。ミュージカル中のミュージカルですよ。良いのかな?僕が観に行って?僕、野田秀樹とかケラとか松尾スズキとかが好物な人なんだけど。
「大丈夫。突然歌うとかないから」
え、でも
「ずっと歌ってるから」
な、なるほど。
たしかに。ずっと歌ってた。すごいね。しかしミュージカルが流行る理由はわかるな。大劇場だともう顔が見えないもん。ずっとロングショットだから。新妻聖子さんの歌声には鳥肌。帝国劇場名物の幻の肉まんは大きかったけど具は少なかった。
青春18きっぷの残りを使い夜行列車ムーンライトながらで行き帰り。(写真は早朝の新宿駅のホーム)全席指定席なので買いに行くと「売り切れです」と、乗れないんですか?「いや、降ろされる事は無いと思いますよ」と曖昧な返事。とりあえず乗ってみるが、デッキに立ってるしかない。一晩ずっと立ってるのはきついなあ。と思っていたら。やはり前回の理科の先生のような、鉄道通のおじいさんが「空いてる席に座ったら良いよ。車掌さんに310円払って、指定した客が乗ってきたら替わったら良い」と言って、おじいさんは他の車両の僕と同じように立っている人に教えるため去って行った。
名古屋に帰ってきたとき日付は9月10日になっていた。
まだ青春18きっぷは残っている。
有効期限は今日まで。
使わないともったいないが、もう使う用事はない。
どうしようか。
うーん。
よし。
僕はおもむろにきっぷ売り場に近づいた。
しばらく様子をうかがう。
自動販売機ではなく、窓口に向かうおばちゃん。
僕は足早におばちゃんに近づき
「もしもし、もしもし」
振り返るおばちゃん。
「新幹線の切符を買われようとしてますか?」
おばちゃん、怪訝な様子で
「いいえ、ちがいます」
「じつは、わたし、青春18きっぷが残ってるんですが」
「あっ!(目を輝かせるおばちゃん)」
商談成立。

青春は 忘れた頃に 帰ってくる
気っ風のよさは 片道じゃない
2008年9月11日
4. Uターンはできんて言うたやん
こんばんわ仙台で素敵な本と珈琲と音楽と家具と人に出会いたい田中博之です。僕は学生時代から作品の音楽はクラシックを多用しています。今回の「恋わつらい」ではドビュッシーの曲を普通に弾いてもらい、PCで約2倍のスピードにして勝手に軽快な音楽にしてしまいました。せんくらの人に怒られたらどうしよう。

8月16日ぐらい。「恋わつらい」のトリウッド上映のため知り合いにメールを送る。メールアドレスが変わっている人が多い。さみしい。

8月19日。Uターンに失敗。僕は二度と人生でUターンをしないと決意する。

8月20日。青春18きっぷで再び東京へ。電車に揺られること7時間。大丈夫。iMacのG3で映像編集していた頃を思い出せ。5分の作品の色補正で6時間レンダリングの頃を思い出せ。フィルムで撮ってた頃を思い出せ。熱海駅で茶プリンを買おう。
「これって、チャップリンと、熱海とチャップリンて、なにか関係あるんですか?」
一応、聞いてみた。
「たぶん無いですね。静岡だからお茶とプリンです」
やっぱり。
でも買う。

8月21日。京橋へ。東京テアトルの西ヶ谷さんに会う。その後フィルムセンターに行く。小津安二郎のサイレントコメディ映画の一部を見る。傑作。チャップリンの『サーカス』みたい。その後映画美学校に行ってみる。告知しようと思ったけど学生が少ない。今日は授業は無いらしい。残念です、と学校の方に漏らすと
「仮に授業があっても、先生や学生に紹介する事はできません」
と言われた。深意はよくわからないけど、ちょっと冷たい。まあ無名の男のアポなし訪問なので仕方ない。いちいち相手にしてたらキリが無いのかな。東京は。
結局いつものように勝手に学生に声をかける。名古屋という文字を画面に出す作品を編集中の女性に話しかけてみる。
「いつ締め切りなんです?」
「今日です」
ごめん。

8月22日~24日。下北沢トリウッドにて「恋わつらい」上映。
な、なんと。予約ですでに立ち見まで埋まっているらしい。やったー!
が、しかし。相澤さんに笑顔が無い。あの相澤さんに?どうやら当日の受付の混乱をおそれているらしい。当日券のお客様の入場をお断りしなければいけないからだ。その不安は的中した。嬉しいんだけど当日ふらっと来たお客様には上映時間ギリギリまで待ってもらう。予約のキャンセル待ちである。なかには予約のキャンセルをこちらからお願いしたお客様もいる。申し訳ありません。
初日は10分以上おして開演。
上映前に舞台挨拶をする。
司会進行は僕。やっぱり喋るのは楽しい。でも今回は時間が無いので早々に切り上げる。上映中はクーラーを涼しめに設定してるのに汗がだらだら滝のごとく。このクセは治らないなあ。
全日程満席で上映終了。キャスト、スタッフ、劇場の方、宣伝してくれた方、お客様、関係者の皆様ありがとうございました。(写真)

8月25日。東京で仕事をする時は阿佐ヶ谷の兄の部屋を借りています。兄はほとんどこの部屋で生活しておらず画材が置いてあるぐらいなので僕が遠慮せずに使う事ができるのですが、問題が一つ、風呂がありません。近くに銭湯があり通ってます。が、今日は定休日。開いている高円寺の銭湯まで足をのばす。
付近まで来たが見当たらないので、犬の散歩をしていた夫婦に尋ねる。
「ここら辺に銭湯ってありませんでした?」
「え、あたしら阿佐ヶ谷に住んでるからわからない」
「僕も阿佐ヶ谷から来ました」
「え、阿佐ヶ谷は銭湯無いの?」
「いや、今日が休みばっかりなんです」
「あーそう。昔は銭湯通ってたけど、今銭湯っていくらなの?」
「450円です」
「え、そんなに?それじゃ一ヶ月で」
「ええ、そうなんです」
「ねー。それじゃ風呂付きのアパートの方がだんぜん」
「はい。銭湯ご存知ありません?」
「うーん。あ、そういえばこの先の信号を曲がったところに一つあったような気が」
「それです」
「でも、そこも定休日だったらごめんね」
「いや大丈夫です」

そこ定休日でした。

心焼く 予約のお客 待たせてる
今夜は欲しい キャンセルのTEL
2008年8月28日
3. 知らんぷりグランプリ
前回、グランプリをクランプリと書いてしまったけれど天野さんはインターネットを使わないからまあ直さなくてもいいかと思って訂正してない田中博之です。ご無沙汰です。少年王者舘 http://www.oujakan.jp/ の大阪公演が終わって名古屋で仕事して、下北沢の本多劇場で流山児☆事務所の映像を担当するハマジマさん(少年王者舘の映像の開祖。子供曰く“神様”)のお手伝いに行って帰ってきたらもう「恋わつらい」の東京上映が。。。友人知人らにメールを100通以上送っていたら眼がチカチカしてきた。Bccを使うべきでした。でも本文に相手の名前を入れたかったんです。

田中博之の情報 http://www.geocities.jp/tana_kachinko/

7月31日~8月3日。アジサイ光線本番。ビデオ撮影の日に限ってゾッとするミスが起きる。怖いですねえ生は。しかしこのライブ感こそ僕が舞台映像にはまって映画がおろそかになっている理由なのだ。なのだ?パパ?いや語尾を気にするな。パパじゃわからん。バカボンのパパまで書け。書くな。映画は、突然台詞を忘れたり、カットのタイミングがずれる、という事は、お客さんの前で上映しているときには起きない。起きたらヤバい。テープチェンジしてください。でも演劇では起きるのです。お客さんの前で。ごめんなさい。それが怖くて楽しいんです僕は。あ、でも昔16mmで映画を上映してた時はライブ感があったような気がする。マスターのフィルムだから傷つけたらしばくぞ的な殺気があったような気がする。生か死かのライブ感。映画に命を賭けてました。

8月6日。天野さんから「恋わつらい」へのコメントがFAXで届く。(写真)たぶん台本と同じノートである。
主観と主観が混在し、
主観と客観が横転し、
イミとゴミが転倒したシュンカン、
ドクトル・タナカの眼が光る。  アマノテンガイ

ドクトル・タナカ。
数年前の事、ウチの父親が
「お前、ヒロユキから、ヒロゾーに名前を変えろ」
と言った。いきなり。
どうやら姓名判断で博之の画数を間違えた事に気付いたらしいのだ。最後の字を三画にした方がいいらしい。三画の漢字で三。博三。ヒロゾー。

安易な。

博三って。さすがにそれはナイと思ったのか父親が次に出した候補は
「じゃヒロシでどうや?ハカセと書いてヒロシ」
博士と書いてヒロシ。

田中博士。
ドクトル・タナカ。

ウチの父親と天野さんが奇妙なリンクをしてしまった。これはやはり田中博士に改名しろということなのだろうか?

8月7日~12日。下北沢の本多劇場に通う。流山児☆事務所「由比正雪」久しぶり、というかほぼ初めての、ますらおぶりな現場である。今まで関わってきた芝居は女性の割合の方が多かったので。そして流山児さんと唐十郎さんのツーショットをこんな間近で見れるとは。東京で仕事をしていればいつか野田秀樹さんにも会えるのだろうか。

今回、東京で悲しかった事が一つある。
おじいちゃん・おばあちゃんが、けっこう冷たい。ヴィレッジバンガードの出口の階段付近でおじいちゃんは後ろから僕にぶつかって「どけっ」と言った。
下北沢駅南口でおばあちゃんはエレベーターが下りてこないのに苛立って、横に居た女の子に向かって「アンタ、ボタン押したのっ?」と言った。女の子はボタンが点灯している事を指す。「全然来ないじゃないっ」と言っておばあちゃんはエレベーターのボタンを連打した。おばあちゃんっそういう裏技はないよ!連打しても早く来ないから。女の子は僕が乗るまで開ボタンを押してくれました。ありがとう。もしかしておばあちゃんへの抵抗?

8月13日。青春18きっぷで名古屋へ。
「崖の上のポニョ」を見る。僕は「魔女の宅急便」が今は一番好きです。あれは魔女の物語でなく僕の物語なんです。この話は長くなるし「また言ってるよ、田中君」って思われるのでまたいつか。

階段に オールドガール 息きれる
少女にキレる 夏の怪談
2008年8月19日
2. 寝たふりはネタふり
仙台で田中といえばマー君かもしれませんが「恋わつらい」の田中博之ですこんにちは。
現在、劇団・少年王者舘の「アジサイ光線」という公演の映像を担当しております。大阪、精華小劇場あたりから日記をお送りします。(写真参照:映像ブースです。EDIROLのPR-50とV-4、エプソンの6000ルーメンぐらいのプロジェクター、DVJ、DVDレコーダー、DVCAMデッキ、Power book G4など)
映画監督としても「トワイライツ」というオーバーハウゼン国際短編映画祭クランプリを受賞した奇想天外な映画を撮る天野天街さんの舞台は、映像が光の魔術のように炸裂すると噂です。仙台劇のまちでも上演してみたいです。いやっ、名古屋はおもしろいですよ。変な人多いですよ。

6月26日。佐藤くん(佐藤良祐監督、2005年仙台短篇映画祭にて「ワード・インザワールド」上映。ちなみに僕も出演してます)の短篇映画の撮影にライブハウスのお客さんとして出演。ほとんどビールを飲んでただけですすけど。帰りの終電で、ポケットの中身を全部ぶちまけているのに気付いていないおじさんに出会う。620円落ちている。でもハードカバーの小説を読んでいる。表紙に「鬼」という字が見えている。鬼だ、この人は。ならば俺も心を鬼にしよう。教えない。しかし電車を降りようとして立ち上がったおじさん、家の鍵まで落としちゃった。おじさん落とし過ぎ。こらアカンわ。 「あ、落としましたよ」
と、心を鬼にしたはずの俺。
あわてて戻るおじさん。
発車のベル。
鍵を拾う。
小銭を拾う。
いや、拾えない!
小銭って床に落ちたら拾えない!
ベルは鳴り止む!
500円と100円が残ってる!
20円しか拾えてないよ!

「っもう、いいです」

と、おじさん。

いやっ、良くない!
僕は全神経を指先に集中し500円硬貨と100円硬貨をノーミスで拾い、まさに閉まらんとする電車をスライディングドア。そしておじさんのもとへ。「いいんですか?」と、おじさん。いいとも。

7月7日。雨のち晴れ。鎌田さんの「月照の歌」クランクアップ。

7月22日。ムーンライトながら(夜行列車)で東京へ。僕が席に着いた途端、となりの席のおじさんが

「理科学部の学生さん?」

なぜ!?

「いや、さっきノートに、ウニの分裂の図解があったから」

ない。僕のノートにウニの分裂はない。それはスイカの絵だ。どうやら、おじさんは理科の先生らしい。スイカの絵?そしておじさんは電車の旅が好きらしく時刻表を片手に、今夜の電車が遅延しているのを説明してくれた。すると、3列ほど前の席のおじいさんが遅延の理由がわからず車掌のもとへ怒鳴りに行ったのを見て「あー、あの人に説明するべきだったねー」と。するべきでない。そして車掌室から帰ってきたおじいさんに

「ご苦労さんですっ」

しちゃった。しばらく僕を間にはさんで、遅延の理由を勝手に決めて話す大会。おじいさんは納得して帰った。そして少々しゃべり疲れた先生は僕に向かって言う。

「いや、知り過ぎるのも、アダだね」

アンタが話しかけたんやっ!
それからおじさんは時刻表を片手に駅を通過するたびに「◯分遅れですね」と僕に報告してくれました。ありがとう。眠れませんでした。

7月23日。PFFへ。尾崎君(尾崎香仁監督、PFF2007準グランプリ。愛知県在住)の作品を見る。僕も撮影スタッフだったけど完成作品を見るのは今日が初めて。同じプログラムに水戸短編映像祭で「化けて出てこい」と一緒に上映した岨手由貴子さんの長編。4年ぶりの再会。しかも面白い。やっぱり長編撮りたいな。もちろん短篇大好きです。
夜は「恋わつらい」の東京上映の打ち合わせ。
夜は「恋わつらい」の東京上映の打ち合わせ。
8/22~24@下北沢トリウッドです。
http://www.hpmix.com/home/atamayama/AI6.htm
↑情報が少しわかりにくいかもしれませんが企画・主演の相澤一成さん(宮城県出身!)のサイトです。よろしくお願いします。よろしくお願いします。

となりの席 知りすぎおじさん トーク好き
東京駅は 遠く五時過ぎ
2008年8月2日
1.
初めまして。「恋わつらい」監督の田中博之です。
京都府宮津市生まれ、名古屋在住、ときどき阿佐ヶ谷の26歳です。
仙台短篇映画祭は4年前に「化けて出てこい」という作品で塩田明彦さんに「モンタージュの理論が生きてない」と怒られて以来です。お世話になりました。
いや皮肉じゃないですよ。
あれから4年経ちました。アテネから北京に変わりました。
僕はモンタージュしているのでしょうか?
「化けて出てこい」の方が面白いのでは?
4年前と変わらない、もはや“古い才能”ではないか?
わからん。どろろ。でも頑張る。よろしくお願いします。

6月20日。鎌田千香子監督の短篇映画「月照の歌」の撮影を担当しています。不思議な世界観の物語で、ロケーションに苦労しています。写真をアップします。
撮影ってこんなに大変だったかなあ、と思う日々です。
先日、夜の撮影がありました。僕は学校の仕事が終わってから現場に向かうという状況で、遅れちゃまずいと思い急いで待ち合わせ場所に行くと30分ほど早く着きました。
誰もいません。もしかしたら車で待っているのでは?
と思って監督に電話をしてみたら、やっぱりまだ来ていなくてどうしようかなあと思っていたその時
「え?もしかして、もう着いたの?」
と、監督。
僕はとっさに
「いや、まだ、です。今から出る」
と。
なぜか嘘をついてしまいました。
あるでしょ?そういうの。
あげくの果てに待ち合わせ場所を間違えてました。
あるでしょ?そういうの。
その結果、一番遅く到着した人、になりました。
みんなこれを読んで僕の名誉を少し回復して欲しいです。

早く着き 心配させない 嘘をつき
場所を間違え 万策も尽き
2008年7月23日
NEWS & TOPICS
  • 9月29日
    プレミア上映告知、「神童」への山尾敦史さんのコメントを掲載いたしました。
  • 9月5日
    予告編ページ、特別企画「ハンガリーからこんにちは!」、2008年度ケータイサイトオープンしました。
  • 7月25日
    2008年度ホームページリニューアルしました。
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